2008.08.19 世界ヨリ君ノ為ニ 13
「――で、姉さん。どこまで進んでるの?」
「説明する前に、お前が騙して盗って来た政府機密データを貸せ」
「・・・・・・随分な言い方だな。誤解されるじゃないか」
「坊っっっっちゃん―――!!!!!」
「どわぁぁ!!!?」
ばぁんと抱きついて――というか飛びかかって来たのは女性のような顔立ちの青年。
長い睫毛に縁取られる大きな瞳は涙で潤んでいる。
その言動から、その青年がフィラをどれだけ大切に想っているのかは想像に難くないのだが、どうにも空回っているといった様子だ。
思い切りフィラを突き倒して涙声で言う。
「坊ちゃん・・・!!お元気でしたか・・・!紫音は心配で心配で胸のつぶれる思いでした・・・!!!」
「おま・・・分かった、分かったから退いてくれ・・・っ」
「いいえ!もっとよくお顔を見せてください!」
「見てもいいからとりあえず退いてくれ!!」
ふるふると首を横に振る彼は、旧王家に代々仕えていた旧家・奏一族の1人である。
古くは東洋の一族だが、ある由縁で王家に忠誠を尽くしてきた。
サンタビア王家が世界政府に呑まれると共に没落した貴族だ。
彼――奏 紫音はフィラの側仕え兼教育係だった。
いやに過保護な男で、幼少から辟易している。
王子を「坊ちゃん」と呼ぶしいろいろと変わった人間だが、フィラが絶大な信頼をおく一人だ。
「ああ大きくなって・・・・・・!!」
「お前は変わんないねー・・・泣くな!女の子泣かしてるみたいで嫌だ!」
ようやく解放され、データの入ったデータをキルナに渡しながら埃をはらう。
周囲の屈強な男たちは闊達に笑う。
ここに集まったのは皆、旧王家所縁のものたちだ。
古来よりサンタビア王家を護り、伝えてきた者なのだ。
「もういいか、そこの莫迦王子。本題に入るぞ」
「え、莫迦は俺なの」
「うるさい莫迦」
「・・・・・・・。政府上層部はおそらく、今件の技術開発で甘い蜜を吸っている。機密を隠蔽しているのは開発局だ」
「政府の目的はなんだ」
「現在加盟に反対している国を力づくで降伏させ、世界を統一する。そして奴らが手にするもの――それは絶大な権力だ」
「ふざけた計画だな・・・」
「世界連盟なんて、裏を返せばただの世界征服でしかなかったんだ。もっとまともな奴らが上にいればよかったんだけど。この計画は、連盟が発足した時から・・・いや、この計画のために連盟は発足した。・・・・・こんなことのために、サンタビアは滅んだ」
沈痛な面持ちでフィラは語る。
握りしめた拳は、爪が肉に食い込んで今にも出血しそうだ。
他の者たちも同じく、脳裏には歴史の裏で死んでいった仲間たちが浮かんでいる。
「絶対的権力を手にした人間がやることなんてたかが知れてる。それは世界を破滅へと導く。俺たちはそれを止めなきゃならない」
「だが、下手に手を出せば奴らはアレを使ってくるだろう・・・もちろん、動かすのには<鍵>が必要だが」
「―――あぁ」
けれど、その<鍵>は。
「―――ルイス、君はこれを知ったら・・・一体何を選ぶ?」
名前を、呼ばれたような気がした。
ルイスははっとして顔を上げる。
「リ、ア・・・・・・?」
そんなはずはない。
彼女はキルナといるはずだ。
言いようのない不安に駆られて、キルナに連絡を取ろうともう一度パソコンの画面に目をやる。
が、その時ディスプレイがぶつりと落ちた。
「何・・・・・っ!?侵入られた・・・!!?」
「――・・・・、聞こ、えるか?ルイス」
「っ、誰だ!!!!!」
「忘れた訳じゃないだろう?俺だよ」
「・・・・・っ!?」
「囚われのお姫様、欲しくない?」
「・・・っ、テメェ!リアに何をした!!」
「大丈夫・・・・傷つけてないよ――それから、“リア”じゃない、“ナディア”だ」
「うるせぇ!!!あいつはリアだ!!ナディアは死んだ・・・!!」
「俺の妹が死んだなんて言うな!!!こんな目に遭わせたのはルイス、お前だろう!!」
「妹・・・っ、お前まさか・・・・ヴァン、なのか・・・!!?」
「そうだよ・・・早くおいで、ルイス」
“早く、おいで?”
ルイスはパソコンが膝から滑り落ちるのも気に留めず、走り出した。
遺書
相当ぶりの更新なのに謎ふやしまくってごめんなさい・・・・・・!!!涙
人も増えてごめんなさい・・・・・・!!
でもヴァンは名前だけ出てたんじゃないかな、一回だけ。
ちなみにどうでもいい設定。
紫音君はこう見えても25歳。笑
フィラの兄や的ポジションでした。
「説明する前に、お前が騙して盗って来た政府機密データを貸せ」
「・・・・・・随分な言い方だな。誤解されるじゃないか」
「坊っっっっちゃん―――!!!!!」
「どわぁぁ!!!?」
ばぁんと抱きついて――というか飛びかかって来たのは女性のような顔立ちの青年。
長い睫毛に縁取られる大きな瞳は涙で潤んでいる。
その言動から、その青年がフィラをどれだけ大切に想っているのかは想像に難くないのだが、どうにも空回っているといった様子だ。
思い切りフィラを突き倒して涙声で言う。
「坊ちゃん・・・!!お元気でしたか・・・!紫音は心配で心配で胸のつぶれる思いでした・・・!!!」
「おま・・・分かった、分かったから退いてくれ・・・っ」
「いいえ!もっとよくお顔を見せてください!」
「見てもいいからとりあえず退いてくれ!!」
ふるふると首を横に振る彼は、旧王家に代々仕えていた旧家・奏一族の1人である。
古くは東洋の一族だが、ある由縁で王家に忠誠を尽くしてきた。
サンタビア王家が世界政府に呑まれると共に没落した貴族だ。
彼――奏 紫音はフィラの側仕え兼教育係だった。
いやに過保護な男で、幼少から辟易している。
王子を「坊ちゃん」と呼ぶしいろいろと変わった人間だが、フィラが絶大な信頼をおく一人だ。
「ああ大きくなって・・・・・・!!」
「お前は変わんないねー・・・泣くな!女の子泣かしてるみたいで嫌だ!」
ようやく解放され、データの入ったデータをキルナに渡しながら埃をはらう。
周囲の屈強な男たちは闊達に笑う。
ここに集まったのは皆、旧王家所縁のものたちだ。
古来よりサンタビア王家を護り、伝えてきた者なのだ。
「もういいか、そこの莫迦王子。本題に入るぞ」
「え、莫迦は俺なの」
「うるさい莫迦」
「・・・・・・・。政府上層部はおそらく、今件の技術開発で甘い蜜を吸っている。機密を隠蔽しているのは開発局だ」
「政府の目的はなんだ」
「現在加盟に反対している国を力づくで降伏させ、世界を統一する。そして奴らが手にするもの――それは絶大な権力だ」
「ふざけた計画だな・・・」
「世界連盟なんて、裏を返せばただの世界征服でしかなかったんだ。もっとまともな奴らが上にいればよかったんだけど。この計画は、連盟が発足した時から・・・いや、この計画のために連盟は発足した。・・・・・こんなことのために、サンタビアは滅んだ」
沈痛な面持ちでフィラは語る。
握りしめた拳は、爪が肉に食い込んで今にも出血しそうだ。
他の者たちも同じく、脳裏には歴史の裏で死んでいった仲間たちが浮かんでいる。
「絶対的権力を手にした人間がやることなんてたかが知れてる。それは世界を破滅へと導く。俺たちはそれを止めなきゃならない」
「だが、下手に手を出せば奴らはアレを使ってくるだろう・・・もちろん、動かすのには<鍵>が必要だが」
「―――あぁ」
けれど、その<鍵>は。
「―――ルイス、君はこれを知ったら・・・一体何を選ぶ?」
名前を、呼ばれたような気がした。
ルイスははっとして顔を上げる。
「リ、ア・・・・・・?」
そんなはずはない。
彼女はキルナといるはずだ。
言いようのない不安に駆られて、キルナに連絡を取ろうともう一度パソコンの画面に目をやる。
が、その時ディスプレイがぶつりと落ちた。
「何・・・・・っ!?侵入られた・・・!!?」
「――・・・・、聞こ、えるか?ルイス」
「っ、誰だ!!!!!」
「忘れた訳じゃないだろう?俺だよ」
「・・・・・っ!?」
「囚われのお姫様、欲しくない?」
「・・・っ、テメェ!リアに何をした!!」
「大丈夫・・・・傷つけてないよ――それから、“リア”じゃない、“ナディア”だ」
「うるせぇ!!!あいつはリアだ!!ナディアは死んだ・・・!!」
「俺の妹が死んだなんて言うな!!!こんな目に遭わせたのはルイス、お前だろう!!」
「妹・・・っ、お前まさか・・・・ヴァン、なのか・・・!!?」
「そうだよ・・・早くおいで、ルイス」
“早く、おいで?”
ルイスはパソコンが膝から滑り落ちるのも気に留めず、走り出した。
遺書
相当ぶりの更新なのに謎ふやしまくってごめんなさい・・・・・・!!!涙
人も増えてごめんなさい・・・・・・!!
でもヴァンは名前だけ出てたんじゃないかな、一回だけ。
ちなみにどうでもいい設定。
紫音君はこう見えても25歳。笑
フィラの兄や的ポジションでした。
2008.03.21 世界ヨリ君ノ為二 12
哀しかったんだ。
如何してか、何故なのかはわからない。
ひどく、哀しかったんだ。
「・・・・・・・・・・・・・ぅ、・・・」
そっと瞳をあけると、瞳を閉じているときと変わりない闇が在った。
音はしない。
何一つ認識できない。
強いて言うならば、これは無だろうか。
しかし闇が支配しているのだから、無とは言わないのかもしれない。
すぅと深呼吸するが、ズキリと胸の奥に痛みが走って咳込む。
どうやらひどく打撲しているらしい。
少し眩暈がするのも、もしかしたら頭を殴打されたのかもしれない。
「・・・・・・・ここ、どこなの・・・?」
「知りたいか?」
「!!?」
声のした方を振り返ると、そこには茶色がかった金髪の男が立っていた。
この闇の中だから、本当に金髪なのかどうかは定かではないが少なくともそう見えた。
こちらを見下ろす瞳は嗤っている。
「あんた・・・誰・・・!?」
「大丈夫だ。俺はお前を傷つけない」
「何言ってんのよ!!こんなとこに連れてきといてどういうつもり・・・っ」
「あぁ、悪かった。お前にこんな手荒な真似をした奴らを生かしておく必要はない・・・さっき殺しておいたよ。」
「え・・・・・・?何、言ってるの」
「もういい・・・もういいんだよお前は・・・ナディア・・・」
「だから、何言ってるの!!?あたしはリアよ!!?やめてお願い・・・っ」
男の腕が伸びてきて、リアを引き寄せて優しく髪を撫でる。
どうしてこんなに混乱しているのだろう。
この男が怖くてたまらないはずなのに、この掌が懐かしいのだ。
いつものように逃げ出してしまえばいいのに、出来ない。
「おかえり・・・・・・・・・ナディア」
再び意識を手放し、ぐったりとした彼女の肢体を抱き上げる男の笑顔は、狂喜に染まっていた。
フィラはキルナと共に軍部にいた。
中佐であるキルナが中に入るのは問題ない。
・・・・が、フィラはまずい。
軍部は政府とは別館としてあるので、政府の検問を受けることはない。
何せ詐欺師として名を売ったのだ。
犯罪者の管轄は軍部である。
それはもう血眼になってフィラを探していたのであって、顔が割れているとかそういうレベルではない。
「・・・・・・・どうしようかねぇ姉さん」
「何がだ」
「何がだじゃないよ・・・俺指名手配されてるんだよね」
「善良な市民から金を巻き上げたことはないんだろう?だったら構うな」
「だったらそう進言してくれればよかったのに中佐殿」
「うるさい。私はそっちの任を仰せつかっていない」
「勝手だなぁもう・・・」
「変装でもなんでもすればいいだろう」
「してるじゃないか。でも顔でバレるような気がして・・・ほら、この美貌」
「そうだな。いいじゃないか、牢獄の中で王子様」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、俺本当に姉さんの弟だよね」
「戸籍上そのはずだが」
一応、今現在フィラは軍服を着用し、紅く目立つ髪を後ろで結えて黒髪のエクステで誤魔化している。
姉がよこしたメガネをかけてはいるのだが、はっきり言って素顔を隠す効果は0に近い。
ただ、あまりにも凝った変装をしては逆に怪しまれてしまうのだ。
強引なキルナはお構いなしに通行証を係りの者に見せる。
「えぇと、後ろの方はどなたでありますか?」
「あぁ、先月士官学校から私が引き抜いてきたんだ。今日は通行証を作りにきた。通してもらえるかな?」
「あ・・・いやしかし、身元の確認がきちんととれませんと・・・」
「通してもらえるかな?」
「いえ・・・あの中佐・・・・」
「な?」
「・・・・・・・・・・・・・はい、どうぞ」
色仕掛けとかそんな可愛いものをしたのではない。
職権濫用、というよりは脅迫。
後ろで見ていたフィラは、姉が剣の柄をかちゃりと音を立てて揺らしたのを見ていた。
これ、見つかったら相当叱られるんじゃないだろうかと姉の身を案じていたのだけれど、向こうで早く来いと眼光鋭く呼んでいる姉を見てそんな心配は吹っ飛んだ。
「あー・・・まったく軍服は息苦しいね。毎日こんなん着てていやにならない?」
「生憎お前のようにだらけた姿勢を知らんのでな」
「だったね」
けらけらと笑って、フィラは胸元をはだけネクタイを緩める。
エクステをぽいと捨てて、メガネを外した。
はだけた胸元にのぞくのは紅い首飾り。
そうして中佐執務室から最下層にある部屋に降りた。
「・・・・・・・・・・キルナ!・・・と、まさか、あなたは・・・っ」
「・・・・・・・久し振りだね」
「フィラ様・・・!」
「様って・・・・姉さん何て説明したのさ」
「旧王家、王位正統継承者と。間違ってないだろう」
「あのねぇ・・・まぁ、誇りはあるけど」
今更様なんてつけて呼ばれるとなんとなく可笑しい。
フィラとキルナの前にいる者たちは、皆少なからず共通点をもっていた。
ある者は、フィラのように紅い髪を。
ある者は、フィラの首飾りと同じ紋様を刺青に、装飾に。
「こんなに血は薄くなっちゃったけどね」
「それでも、あなたは私たちの長です・・・どうか、ご指示を」
「時代を・・・・・・・・・・覆そうか」
キルビア国王家、王位正統継承者。
古の王族の皇子は、笑った。
遺書
な、長いよ・・・・・・!
詰め込みすぎの感がありまくりですが気のせいです。)違います
ちょっと笑いが足りなかったんでこの姉弟は楽しかったーw笑
もうどんだけいじりやすいんですか彼ら。ぇ
てか、うん。
あのーフィラはヘタレじゃないっすよ?
へらへらしてるだけで。笑
そいでちょっとずつ加速してます、物語が。
今回は趣味も盛り込みましたがね!!笑
軍服はネクタイですけど何か?
ついでに長髪メガネですけど何か?
はい、もう思いっきり趣味です。管理人の。
フィラさんの秘密が明かされたのでした・・・・!
もちろんキルナさんも王家の血を継いでますよ。
2008.03.15 世界ヨリ君ノ為ニ 11
「フィラ!」
「あ、姉さんお帰り。リアちゃんは?」
「街中でルイスを見かけて追って行った。どういうことだ」
「―――そうか」
フィラの瞳が険を帯びる。
切ないような、寂しいような光が揺れて、それから一点の曇りもなくなる。
そして静かに言った。
「もう動き始めてるんだ」
「……」
「姉さん、準備はもう万端なんだろ?」
「――ああ」
フィラはばさりと丈の長いコートを羽織る。
そして真紅の首飾りを首に掛ける。
その玉飾りには複雑な模様が描かれている。
「―――さぁ、世界を変えようか」
色が無くなったような錯覚を起こす。
色の情景の中に見え隠れする黒を、辛うじて見失わずに追いかける。
どうしてだろう。
さっきまで落ち着いていた胸のざわめきが酷くなってきている。
ルイスの背中を追いかけて、歩を一歩進める毎に、不安と恐怖で眩暈がする。
「ルイス……っ、待っ…!」
すいと彼の背中が路地裏に消えた。
リアはもうほとんど条件反射でその暗がりに身を躍らせた。
「………ルイス?」
応答はない。
だが、リアにはかすかな足音が聞こえた。
聞こえたというよりも、感じたといった方が正しいかもしれない。
そこに人がいるという気配があった。
――それなのに、足が動かない。
行ってはいけない。知ってはいけない。
頭の奥の、もっとずっと本能に近いところで警鐘がうるさく鳴っている。
触れてはいけないもの。
それを直感として感じ取っていた。
リアにはその理由がわからない。
目の前の暗がりにあるはずなのは見慣れた背中で、それなのに知らないひとのようなのだ。
リアとルイスは互いに過去を明かすことはしなかったから、知らない顔があったって不思議ではない。
でもそういったものとは違う類であるとわかる。
その時、もっと奥の闇から物音がした。
何か無機質なものが擦れ合う音。
リアは竦んで棒のようになった足を叱咤して、暗がりへ向かう。
思った通り、見慣れた後姿が液晶の明りに浮かび上がっている。
「ルイ…ス……?」
「―――あるはずだ、何か……あいつを救う方法が……」
「え………?」
彼の手元にあるのは色とりどりのコード。
そのコードはまるで人の臓物のようにずるりと人形の腹から引きずり出されている。
硝子でできた虚ろな瞳。
鈍く白く光る肌。
それはまるで、神に見捨てられた創造物の如く。
「ぁ、……痛、ぃ…何…っ」
頭が割れる。
痛くて哀しい。
哀しくて苦しい。
狂おしいほどに、切ない。
「創っ、テ…ひと、命…、ぁ……っ!!!」
酷い頭痛の中で、ひどく冴えた部分があってリアはそこで思考していた。
一体どうしたというのだろう。
何が哀しいのだろう。
何が切ないのだろう。
ぼんやりと、自分が失くした記憶のことを想った。
もしかしたら自分は、昔この街に来たのかもしれない。
そういえば記憶を取り戻したくて世界各地いろいろなところをルイスについて回ったんだっけ。
でももうたくさん思い出があるから、思い出せなくてもいいかなぁ、とこんな時に限ってそんなことを考える。
「ルイ、ス……あたし、ちゃんといるよね…ココ、に…?」
そこで、リアの意識はふつりと途切れた。
遺書
うわー…もう弁解のしようがないっす…
遅い…更新が遅すぎる…!!
すいませんマジで切腹します
どこのどいつだ2月中に更新しますとかほざいたの…!
しかもあんまり進んでなーい
いやもうすいませんホント。
「あ、姉さんお帰り。リアちゃんは?」
「街中でルイスを見かけて追って行った。どういうことだ」
「―――そうか」
フィラの瞳が険を帯びる。
切ないような、寂しいような光が揺れて、それから一点の曇りもなくなる。
そして静かに言った。
「もう動き始めてるんだ」
「……」
「姉さん、準備はもう万端なんだろ?」
「――ああ」
フィラはばさりと丈の長いコートを羽織る。
そして真紅の首飾りを首に掛ける。
その玉飾りには複雑な模様が描かれている。
「―――さぁ、世界を変えようか」
色が無くなったような錯覚を起こす。
色の情景の中に見え隠れする黒を、辛うじて見失わずに追いかける。
どうしてだろう。
さっきまで落ち着いていた胸のざわめきが酷くなってきている。
ルイスの背中を追いかけて、歩を一歩進める毎に、不安と恐怖で眩暈がする。
「ルイス……っ、待っ…!」
すいと彼の背中が路地裏に消えた。
リアはもうほとんど条件反射でその暗がりに身を躍らせた。
「………ルイス?」
応答はない。
だが、リアにはかすかな足音が聞こえた。
聞こえたというよりも、感じたといった方が正しいかもしれない。
そこに人がいるという気配があった。
――それなのに、足が動かない。
行ってはいけない。知ってはいけない。
頭の奥の、もっとずっと本能に近いところで警鐘がうるさく鳴っている。
触れてはいけないもの。
それを直感として感じ取っていた。
リアにはその理由がわからない。
目の前の暗がりにあるはずなのは見慣れた背中で、それなのに知らないひとのようなのだ。
リアとルイスは互いに過去を明かすことはしなかったから、知らない顔があったって不思議ではない。
でもそういったものとは違う類であるとわかる。
その時、もっと奥の闇から物音がした。
何か無機質なものが擦れ合う音。
リアは竦んで棒のようになった足を叱咤して、暗がりへ向かう。
思った通り、見慣れた後姿が液晶の明りに浮かび上がっている。
「ルイ…ス……?」
「―――あるはずだ、何か……あいつを救う方法が……」
「え………?」
彼の手元にあるのは色とりどりのコード。
そのコードはまるで人の臓物のようにずるりと人形の腹から引きずり出されている。
硝子でできた虚ろな瞳。
鈍く白く光る肌。
それはまるで、神に見捨てられた創造物の如く。
「ぁ、……痛、ぃ…何…っ」
頭が割れる。
痛くて哀しい。
哀しくて苦しい。
狂おしいほどに、切ない。
「創っ、テ…ひと、命…、ぁ……っ!!!」
酷い頭痛の中で、ひどく冴えた部分があってリアはそこで思考していた。
一体どうしたというのだろう。
何が哀しいのだろう。
何が切ないのだろう。
ぼんやりと、自分が失くした記憶のことを想った。
もしかしたら自分は、昔この街に来たのかもしれない。
そういえば記憶を取り戻したくて世界各地いろいろなところをルイスについて回ったんだっけ。
でももうたくさん思い出があるから、思い出せなくてもいいかなぁ、とこんな時に限ってそんなことを考える。
「ルイ、ス……あたし、ちゃんといるよね…ココ、に…?」
そこで、リアの意識はふつりと途切れた。
遺書
うわー…もう弁解のしようがないっす…
遅い…更新が遅すぎる…!!
すいませんマジで切腹します
どこのどいつだ2月中に更新しますとかほざいたの…!
しかもあんまり進んでなーい
いやもうすいませんホント。
2007.10.23 世界ヨリ君ノ為二 10
ルビニイの町並みはどこまで行っても白く美しい。
太陽光の照り返しはあるが、それすら気にならない程に人の気分を高揚させる美しさだ。
この街は湖畔に発達した街だ。
道の向こうには青い水平線が見える。
「この通りをこのまま東に抜けると湖だ」
「大きいのね・・・ここから見ると海みたい」
「まぁ海みたいなものだ。月の満ち欠けによって海水が流れ込む」
「そんなことってあるの!?」
「満潮になるとな。ここは内陸の上台地だから、完全に潮が引ききることはない。だから独特の生態系を維持している」
「へぇ・・・・・」
市に並ぶ新鮮な魚たちは見たこともないような色や形をしている。
ルビニイは豊かな水産資源の支えがあってこそ栄えたとも言える。
キルビア国土が広い為、首都から遠い土地ほど都市化は進んでいない。
来るまでにみた列車の風景からもその差は見てとれる。
そしてそれはまるで、地方への統治が不完全な世界政府と告示している。
「あの・・・キルナ・・・は、軍の人?」
「ん?あぁ、そうだ。一応肩書きは陸軍中佐」
「・・・・・中佐?」
「中佐」
ちょっと待て、とリアは頭をしっかりと覚醒させる。
中佐というと、結構偉いのではないだろうか。
「・・・・・・・あいつはどんな人生送ってきたのよ・・・・」
「ルイスか?」
「・・・・・・・」
その沈黙を肯定ととったキルナは軽く笑って言う。
「私とフィラ、そしてルイスは同じレイ・リグルレス学院の院生だったんだ」
「そうなの?」
「私は2年上級院生だが、なぜだかいつもつるんでいてね。あとミレイユとヴァンと・・・懐かしいな」
「いいなぁ・・・」
「え?」
「・・・あ、あたしにはそういう記憶、ないから・・・」
「・・・・・・そうか」
懐かしい、という感情。
過去があるという感覚。
もうそういったもの達は、今のリアにはもう馴染みないものになってしまった。
瞳を伏せて思考の淵に沈む彼女の頭を、ぽんと温かい掌がたたく。
「大丈夫だ。きっといつか取り戻せる」
「だと、いいんだけど」
「もしも取り戻せなくても、これからがあるじゃないか」
「・・・そう、だね。うん、頑張る・・・」
キルナの言葉は、他のどんな言葉よりも簡単で、それでいて安心できた。
その温かさに触れながら、リアはざわめいていた心の奥がすうっと落ち着いていくのを感じた。
「・・・あ、あれ・・・?」
「どうした?」
「今・・・ルイスが」
「え?」
確かに、見た。
そこの角を黒い背中が曲がっていくを。
見間違えたりするはずもない。
「ごめんなさい、あとでちゃんと戻ります」
「リア!」
投げ掛かられたキルナの制止も聞かず、リアも人混みの白の中へと駆けていった。
遺書
今日の授業中にちょこちょこっとプロットを書いてましたw笑
キルナ姐さん、大好きだ笑
太陽光の照り返しはあるが、それすら気にならない程に人の気分を高揚させる美しさだ。
この街は湖畔に発達した街だ。
道の向こうには青い水平線が見える。
「この通りをこのまま東に抜けると湖だ」
「大きいのね・・・ここから見ると海みたい」
「まぁ海みたいなものだ。月の満ち欠けによって海水が流れ込む」
「そんなことってあるの!?」
「満潮になるとな。ここは内陸の上台地だから、完全に潮が引ききることはない。だから独特の生態系を維持している」
「へぇ・・・・・」
市に並ぶ新鮮な魚たちは見たこともないような色や形をしている。
ルビニイは豊かな水産資源の支えがあってこそ栄えたとも言える。
キルビア国土が広い為、首都から遠い土地ほど都市化は進んでいない。
来るまでにみた列車の風景からもその差は見てとれる。
そしてそれはまるで、地方への統治が不完全な世界政府と告示している。
「あの・・・キルナ・・・は、軍の人?」
「ん?あぁ、そうだ。一応肩書きは陸軍中佐」
「・・・・・中佐?」
「中佐」
ちょっと待て、とリアは頭をしっかりと覚醒させる。
中佐というと、結構偉いのではないだろうか。
「・・・・・・・あいつはどんな人生送ってきたのよ・・・・」
「ルイスか?」
「・・・・・・・」
その沈黙を肯定ととったキルナは軽く笑って言う。
「私とフィラ、そしてルイスは同じレイ・リグルレス学院の院生だったんだ」
「そうなの?」
「私は2年上級院生だが、なぜだかいつもつるんでいてね。あとミレイユとヴァンと・・・懐かしいな」
「いいなぁ・・・」
「え?」
「・・・あ、あたしにはそういう記憶、ないから・・・」
「・・・・・・そうか」
懐かしい、という感情。
過去があるという感覚。
もうそういったもの達は、今のリアにはもう馴染みないものになってしまった。
瞳を伏せて思考の淵に沈む彼女の頭を、ぽんと温かい掌がたたく。
「大丈夫だ。きっといつか取り戻せる」
「だと、いいんだけど」
「もしも取り戻せなくても、これからがあるじゃないか」
「・・・そう、だね。うん、頑張る・・・」
キルナの言葉は、他のどんな言葉よりも簡単で、それでいて安心できた。
その温かさに触れながら、リアはざわめいていた心の奥がすうっと落ち着いていくのを感じた。
「・・・あ、あれ・・・?」
「どうした?」
「今・・・ルイスが」
「え?」
確かに、見た。
そこの角を黒い背中が曲がっていくを。
見間違えたりするはずもない。
「ごめんなさい、あとでちゃんと戻ります」
「リア!」
投げ掛かられたキルナの制止も聞かず、リアも人混みの白の中へと駆けていった。
遺書
今日の授業中にちょこちょこっとプロットを書いてましたw笑
キルナ姐さん、大好きだ笑
2007.10.21 世界ヨリ君ノ為二 9
リアがのんびりと、そして額に青筋を浮かべながらお茶を飲んでいると、奥から凛とした声が響いた。
「……おい、騒がしいぞ。客人か?」
「!?」
些か不機嫌そうに発された声の持ち主は、20代前半の女性。
美人だが隙を見せない狡猾さが垣間見える。
「あぁ、姉さん。覚えてるだろ?ルイスだよ。それからこっちはリアちゃん。」
「ルイス……?お前、レイ・リグルレス学院の時の……」
少し開かれた瞳は、一瞬だけ動揺してから鋭い眼光を宿した。
ルイスは彼女を見るなり身構える。
「…何、どしたの?知り合い?姉さんってフィラの!?」
「あぁ、私はキルナという。フィラの姉で………ルイスとは…」
キッときつく睨み、ほんの半瞬遅れて上段回し蹴りが炸裂した。
びゅっと空を切って飛んできた攻撃を辛うじて回避し、続けざまに繰り出される拳をばしっと受け止める。
リアは思わず「おぉっ」と感嘆してしまった。
「………もうヤメねぇ?このやりとり……」
「止めん。私は未だにお前が嫌いだ」
「俺だって嫌いだコノヤロウ」
牽制し合っている互いの拳が、みしみしと不穏な音を立てる。
リアには2人の間に走る亀裂が広がる音にしか聞こえなかった。
「ねぇ……この2人、何?」
「んー、まぁ犬猿の仲って奴さ。昔からこうでねぇ。気にしなくて良いよ」
「………はぁ……」
だんだん驚かなくなってきているリアは半眼で2人を見やる。
片やこの飄々とした物腰柔らかな詐欺師、片や武道に長けた軍人然とした女性。
そしてその家柄は中流貴族。
一体ルイスはどんな過去を持っているのか、半ば呆れつつも興味を持った。
「さて、本題に戻ろうか。ほら痴話喧嘩はおしまい」
「「気色悪いこと言うなそこの馬鹿」」
「揃ってるところがまた……」
「いいから話に戻りましょうよ」
いい加減飽きてきたリアはこつこつとテーブルを叩いて脱線を正す。
どうやらこのメンバーで一番まともなのは自分のようだ、と妙な責任感を覚えた。
「何の用で来たんだ」
「……少し、な。今あいつらが何処にいるのか調べて欲しい」
「政府が絡んでるんだぞ?一介の暗殺家が手を出すには少々危険過ぎると思うが」
フィラの瞳からおどけた光が消えた。
リアは自分の理解し得ない情報のやりとりに戸惑うしかない。
「分かってる。それでもやらなきゃならねぇことがある」
「………いいだろう」
フィラはメガネをかけ直すと、複雑そうな機械を起動させ、なにやら作業を始める。
「ねぇちょっとルイス、どういうこと?」
「………世界政府に、喧嘩を売りに行く。その下準備だ、とでも言うかな」
「……………………は?」
リアは自分の耳を疑った。
世界政府に、喧嘩を売る。
今彼は確かにそう言った。
「………あんた馬鹿?」
「うるせぇな」
「どんだけ巨大な組織だと思ってるの!?しかもなんでまた急に」
「………大切なものを守るためだ」
「え……?」
心を見透かされるような瞳に見据えられて、心がざわめく。
どうしてだろう。
自分が怯える必要など、何処にもない。
それなのに、リアは急に怖くて怖くて目眩がする程だった。
「……あ、たし……ルイス……、や、だ…「リア」
ひょいっといきなり襟首を捕まれて持ち上げられて、リアは後ろを振り向く。
キルナだった。
「キルナ、さ……」
「さんなんていらない。折角ルビニイに来たんだ。散歩でもしに行かないか?」
「え……でも」
「いいから。家にいるだけでは勿体ない。こんなに晴れているんだから」
そのまま、半ば強引にリアは街へ連れ出された。
残されたフィラとルイスは、暫し沈黙を守っていた。
フィラの打つキーボードの音だけが無機質に時を刻む。
「………終わらせるつもりか」
「………あぁ。もう、これ以上は限界だ」
「守る為なら、失うのも厭わないって?」
「………」
「君は優しすぎるんだよ、ルイス」
生きていくのには少しね、とフィラの瞳が続ける。
「……優しいことは、決して常に良いことではないよ」
「……分かってる、つもりだ」
「まぁいいさ。君がそう決めたなら僕は見守るだけだから」
「いつも、止めないけど手は出さないのがお前だったな」
「僕はずるがしこい人間だからね」
にこ、と笑ってフィラはメモ書きをルイスに渡す。
「……俺はそういう奴、嫌いじゃないぜ」
「それはどうも」
ルイスはコートを翻して白い町並みに消えていった。
■□■遺書■□■
すいませんすごい遅くなって………汗
しかもあんまり物語すすんでないって言う……汗
ちょっとスランプです。
てかプロット無視するなよルイス……笑
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